グレート・リセッションとは?原因・影響・対応・教訓をわかりやすく解説

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グレート・リセッションとは、2000年代後半から2010年代初頭にかけて、世界的な経済の衰退を指す言葉です。

この時期には、アメリカのサブプライム住宅ローン危機や金融危機が発生し、多くの国々で失業率が上昇し、貿易や投資が減少しました。

グレート・リセッションは、第二次世界大戦以来最悪の景気後退局面とされています。

 

グレート・リセッションの原因と影響

グレート・リセッションの原因は、複雑で多様ですが、主なものとして以下のようなものが挙げられます。

  • アメリカで低所得者向けの住宅ローン(サブプライムローン)が急増し、不動産価格が高騰したこと。しかし、2006年から不動産バブルが崩壊し、多くの借り手が返済不能に陥りました。これにより、サブプライムローンを担保にした金融商品(CDOなど)の価値が暴落し、金融機関に大きな損失を与えました。
  • 金融機関間の信用が失われ、流動性が枯渇したこと。サブプライムローン危機により、金融機関は自己資本比率を下げるために資産を売却しようとしましたが、市場に買い手がいなくなりました。また、金融機関は相手方の信用状況を疑い始め、貸し出しを控えるようになりました。これにより、金融市場における資金の流れが滞りました。
  • 金融危機が実体経済に波及したこと。金融市場の混乱は、企業や家計にも影響を及ぼしました。企業は資金調達が困難になり、設備投資や雇用を削減するようになりました。家計は所得や資産価値の減少に直面し、消費や借入を抑制するようになりました。これらの要因は相互に影響しあい、経済活動全体を低迷させました。
  • 世界経済の連動性が高まったこと。グローバル化により、各国の経済は密接に関係するようになりました。アメリカの金融危機は、欧州やアジアなどの地域にも広がりました。特に、アメリカと貿易や投資で強いつながりを持つ国々は、需要や収入の減少を受けました。また、新興国や途上国は、先進国からの資本流出や通貨安により、経済的な圧力を感じるようになりました。

 

グレート・リセッションへの対応とその後

グレート・リセッションへの対応は、各国や国際機関によって異なりましたが、主なものとして以下のようなものがあります。

  • 金融政策の緩和。各国の中央銀行は、政策金利を引き下げたり、量的緩和などの非伝統的な手段を用いたりして、金融市場に資金を供給しました。これにより、金利や為替レートを低下させ、金融機関や企業の資金繰りを改善しようとしました。
  • 財政政策の拡大。各国の政府は、減税や公共投資などの財政出動を行いました。これにより、家計や企業の所得を増やし、消費や投資を刺激しようとしました。また、社会保障や失業保険などの自動安定化装置も働きました。
  • 金融システムの安定化。各国の政府や中央銀行は、危機に陥った金融機関に対して、資本注入や債務保証などの支援を行いました。これにより、金融機関の倒産や信用収縮を防ぐことができました。また、金融規制や監督の強化も進められました。
  • 国際協調の強化。グレート・リセッションは世界的な危機であったため、各国は協力して対応する必要がありました。特に、20カ国・地域(G20)首脳会議は、金融危機への対処や経済回復への取り組みにおいて重要な役割を果たしました。また、国際通貨基金(IMF)や世界銀行などの多国間機関も、財政支援や技術支援などで危機に直面した国々を支援しました。

グレート・リセッションは2010年代初頭には終息しましたが、その後も世界経済は完全に回復することはありませんでした。

多くの国々では、成長率が低下し、失業率が高止まりし、貧困や格差が拡大しました。

また、グレート・リセッションは政治的・社会的な影響も及ぼしました。

例えば、欧州ではギリシャなどの債務危機が発生し、EU離脱(ブレグジット)などのナショナリズムやポピュリズムが台頭しました。

アメリカではドナルド・トランプ大統領が誕生し、保護主義や孤立主義が強まりました。

中国では一帯一路構想などで世界的な影響力を拡大しました。

 

グレート・リセッションは21世紀初頭の世界史における重要な出来事であり、その影響は今日まで続いています。

グレート・リセッションから学ぶべき教訓は多くありますが、その一つは、経済的・社会的・政治的な危機に対処するためには、国内外の協力と連携が必要であることです。

グレート・リセッションは、各国が一体となって対応したことで、より深刻な結果を回避することができました。

しかし、その後も世界経済は不安定な状態にあり、新たな課題や脅威が現れています。

例えば、新型コロナウイルスのパンデミックや気候変動などです。

これらの問題に対処するためには、各国が自国第一主義ではなく、多国間主義やグローバル・ガバナンスを重視する必要があります。

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