私の場合、仕事の移動は自動車での移動が多いのですが高速道路は周りが山だらけの場所を通る場合が多いです。
何も見るところがないので何気なく山を眺めていたら送電線を支える鉄塔が気になりました。
高い山を越え遥か遠くまで送電線が続いています。
そういえばものすごい山奥でも鉄塔を見かけます。
あんな高くて険しい山の頂上に高々とそびえる鉄塔をどうやって建てたのか知りたくなりました。
鉄塔を建てる場所に行くのも大変
鉄塔を建てるためには作業する人がその場所に行かなければなりません。
道なき山の中を草をかき分けながら進みます。
事前調査も必要なので多くの人が現地を訪れます。
工事を行う人たちは鉄塔を建てる作業も大変だと思いますが、鉄塔を建てる場所に行き着くこと自体が大変な作業なのです。
基礎工事
まずは鉄塔を建てるための基礎を固めなければなりません。
基礎がしっかりできていないとせっかく建てた鉄塔が倒れてしまいますからね。
穴を掘ってコンクリートを流し込む打設工事を行います。
大きな鉄塔になると掘る穴の深さは30mにもなるそうです。
穴はどうやって掘るのか?人力の場合もあるそうですが大抵の場合は重機を使って掘ります。
しかしこんな山奥でしかも急斜面、車が通れる道もないのにどうやって重機を現場に運ぶのでしょうか?
重機は組み立て式のものを使用しバラバラにして運びます。
バラバラにしたパーツはヘリコプターで運んだり、索道やモノレールを敷設して運びます。
索道とは「架空索道」のことで荷物運搬専用のロープウェイのことです。
ヘリコプターで荷物を運搬するのが一番早いのですが費用がとても高いため予算に余裕がある場合に限り使用するそうです。
そのため多くの場合は索道かモノレールで運びます。
届いたパーツを現場で組み立てます。
コンクリートの流し込みもコンクリートミキサー車から直接流し込めないのでコンクリートを索道やロープウェイを使って運搬します。
このコンクリート打設が難しいそうです。
生コンの打設完了までの時間制限があるからです。
通常は2時間以内に行わなければなりません。
時間を過ぎれば品質に問題が生じてくるからです。
せっかく生コンを流し込んだのに時間がかかりすぎたせいで強度不足になってしまったら大事です。
鉄塔の組み立て
鉄塔の組み立て方法はいろいろありますが現在多く使用されている工法は、台棒工法、クライミングクレーン工法、移動式クレーン工法があります。
山間部で高い鉄塔を建てるとなるとクライミングクレーン工法が多いようです。
その名前の通りクレーンが登り(クライミング)ます。
建設する鉄塔の中心にクライミングクレーンを設置します。
鉄塔の下の部分をクライミングクレーンを使って組み上げていきます。
鉄塔の下の部分が組み上がったら鉄塔から支えを取り、クライミングクレーンを垂直方向にスライドさせます。
クライミングクレーンが上方向に持ち上げた下部に鉄柱を挿入し嵩上げします。
クライミングクレーンが固定されたら鉄塔の組み立ての続きを行います。
この嵩上げ作業を何回も繰り返すことで鉄塔が高く組み上がるのです。
作業可能高さは最大で何と200mというから驚きです。
鉄塔を建てる工事の期間は4~5年かかります。
鉄塔の建設は人間の英知の結晶と思いませんか?
現在は建設機材も便利なものができたため鉄塔の建設作業は昔に比べれば楽になりました。
鉄塔建設場所までたどり着くことにしても、現在ならばナビゲーションがあるので迷いにくいですが一昔前まではコンパスと地図を頼りに向かわなければなりませんでした。
建設機材の運搬もモノレールを使って運べますが昔は人が背負って運びました。
今後、さらに便利なものが開発され鉄塔の建て方も変わるのかもしれませんね。
こんなにも大変な鉄塔の建設作業ですが何のために鉄塔を建てているのか。
それは電気を遠く離れた場所まで送るため。
鉄塔から鉄塔へ送電線を架け電気を運ぶ。
この送電線架橋作業も大変な作業です。
人々の生活に欠かせない電気をみんなが使えるようにするために鉄塔と送電線はあるのです。
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