同時廃止事件とは?メリット・デメリット・手続きの流れを解説

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自己破産とは、裁判所の免責許可を受けることで現在の借金を全額免除してもらう債務整理の一種です。

しかし、自己破産には費用や時間がかかるというデメリットもあります。

そこで、財産がない場合には、同時廃止事件という方法が選択できます。

同時廃止事件とは、破産手続きを開始と同時に終了させる方法で、費用や時間を節約できるメリットがあります。

しかし、同時廃止事件にも条件や注意点があります。

この記事では、同時廃止事件とは何か、メリット・デメリット・手続きの流れについて解説します。

 

同時廃止事件とは何か?

同時廃止事件とは、自己破産手続きの例外的な形態で、債権者に支払うべきめぼしい財産がない場合に適用される方法です。

通常の自己破産手続きでは、裁判所によって財産を管理・処分する「破産管財人」が選出され、破産管財人が財産を処分し現金化します。

それによって得た現金が、債権者に公平に分配されます。

しかし、同時廃止事件の場合は、破産管財人が選任されず、裁判所に破産の申し立てをすると同時に手続きが終了します。

そのため「同時廃止事件」と言われています。

 

同時廃止事件のメリット

同時廃止事件のメリットは、以下の通りです。

  • 費用が安く済む:通常の自己破産手続きでは、予納金や官報公告費だけでなく、破産管財人の報酬や交通費なども必要です。しかし、同時廃止事件では、予納金や官報公告費以外はかからないため、費用を抑えられます。
  • 時間が早く済む:通常の自己破産手続きでは、財産の調査や処分に時間を要します。また、免責許可決定までに半年から1年程度かかることもあります。しかし、同時廃止事件では、手続きが開始と同時に終了するため、時間を節約できます。
  • 財産を処分しなくてもよい:通常の自己破産手続きでは、生活に必要最小限度の財産以外はすべて処分されます。例えば、自宅や高額な自家用車もすべて売却されて換金されます。しかし、同時廃止事件では、財産を処分する必要がないため、そのまま保持できます。

 

同時廃止事件のデメリット

同時廃止事件のデメリットは、以下の通りです。

  • 条件が厳しい:同時廃止事件になるためには、以下の条件を満たさなければなりません。
    • 自己破産者に33万円以上の手持ちの現金がないこと
    • 20万円以上の価値を持つ車や不動産などの資産がないこと
    • 免責不許可事由が明確にないこと
  • 免責許可決定が遅れる:同時廃止事件では、破産手続きが開始と同時に終了しますが、免責許可決定はその後になります。免責許可決定までには、債権者からの異議申立てや裁判所の審査があります。そのため、免責許可決定までに半年から1年程度かかることもあります。
  • 債権者からの返済請求が続く:同時廃止事件では、破産手続きが開始と同時に終了しますが、免責許可決定までは債権者からの返済請求が続きます。債権者からの連絡や督促に対しては、自己破産手続きを開始した旨を伝える必要があります。

 

同時廃止事件の手続きの流れ

同時廃止事件の手続きの流れは、以下の通りです。

  • 必要書類の提出:自己破産をするためには、裁判所に必要書類を提出する必要があります。必要書類には、申立書や財産目録、債務一覧表などがあります。これらの書類は、弁護士や司法書士に依頼すると作成してもらえます。
  • 破産手続開始決定:裁判所は提出された書類を審査し、自己破産手続きを開始するかどうかを判断します。同時廃止事件として扱われる場合は、この段階で手続きが終了します。裁判所からは、破産手続開始決定と同時廃止決定の通知が送られてきます。
  • 免責許可決定:同時廃止事件では、免責許可決定は後日行われます。裁判所は債権者からの異議申立てや自己破産者の借金の原因などを調べて、免責を許可するかどうかを判断します。免責許可決定が下されれば、借金が全額免除されます。

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