年金は老後の生活を支える大切な収入源ですが、その種類や仕組み、税金や相続との関係は複雑で分かりにくいものです。
この記事では、年金や税金、相続に関する得する情報をまとめてご紹介します。
年金の種類と仕組み
年金には、国が運営する公的年金と、企業や個人が契約する私的年金があります。
公的年金には、国民年金と厚生年金があります。
国民年金は、18歳以上のすべての国民が加入する基礎的な年金制度で、厚生年金は、一定規模以上の企業に勤めるサラリーマンや公務員などが加入する上乗せ的な年金制度です。
公的年金は、加入者が一定期間保険料を支払うことで、老齢・障害・死亡などの場合に一定額の給付を受けることができます。
私的年金には、企業年金と個人年金があります。
企業年金は、企業が従業員のために設ける退職給付制度で、確定給付型と確定拠出型があります。
確定給付型は、退職時に受け取る給付額があらかじめ決まっている制度で、確定拠出型は、毎月積み立てる拠出額が決まっている制度です。
私的年金は、自分で選んで契約するもので、老後の収入を増やすための補完的な役割を果たします。
年金や税金の得する情報
年金を受け取るときには、所得税や住民税がかかります。
しかし、以下のような方法で節税することができます。
- 公的年金を受け取る場合は、「基礎控除」と「老人控除」、「配偶者控除」などの各種控除を適用することで所得税を減らすことができます。
- 私的年金を受け取る場合は、「分離課税」と「特別控除」を利用することで所得税を減らすことができます。「分離課税」とは、私的年金の受取額に対して一律20.315%(所得税15.315%+住民税5%)の税率を適用する制度です。「特別控除」とは、私的年金の受取額から一定額を控除して課税する制度です。
- 退職時に退職給付制度から一時金を受け取る場合は、「退職所得控除」と「退職損失控除」を利用することで所得税を減らすことができます。「退職所得控除」とは、退職所得から一定額を控除して課税する制度です。「退職損失控除」とは、退職時に支払った保険料や拠出金などから受け取った退職所得を差し引いた額(損失額)を控除して課税する制度です。
年金受給権は、相続税の対象となる場合とならない場合があります。
以下のように区別することができます。
- 相続税の対象となる年金受給権は、個人年金や退職年金、死亡保険金(年金受け取り型)などです。これらは、相続人が将来にわたって財産的価値のある年金受給権を引き継ぐため、相続税の課税対象となります。
- 相続税の対象とならない年金受給権は、遺族年金や寡婦年金、未支給年金などです。これらは、遺族の生活保障の一部として給付されるものであり、相続税の課税対象となりません。
年金受給権が相続税の課税対象となる場合は、その価額を評価する必要があります。
評価方法は、以下のように異なります。
- 終身年金は、解約返戻金相当額により評価します。解約返戻金相当額とは、死亡時点で契約を解約した場合に支払われる金額です。
- 確定年金は、将来受け取る予定の年金額を現在価値に割り引いた額により評価します。現在価値とは、将来受け取るお金を現在に換算した額です。
年金手続きのポイント
相続が発生した場合は、年金手続きを行う必要があります。
以下のポイントを押さえておきましょう。
- 未支給年金を受け取ることができる遺族の範囲は、配偶者や子供だけではありません。孫や兄弟姉妹なども条件を満たせば受け取ることができます。
- 被相続人が亡くなったときに取るべき手続きは、遺族年金や未支給年金の請求や届出です。また、個人年金や退職年金などの私的年金については、保険会社や企業に連絡して手続きを確認することが必要です。
- すでに障害者基礎年金を受けている場合の手続きは、遺族基礎年金への切り替えです。障害者基礎年金と遺族基礎年金は同時に受け取ることができません。
- 相続放棄しても遺族年金はもらえます。遺族年金は相続財産ではなく生活保障の一部であるため、相続放棄しても影響しません。
- 保険会社から必要な手続きを通知してもらえます。個人年金や死亡保険金(年金受け取り型)などの私的年金については、保険会社から必要書類や手順を通知してもらえます。ただし、連絡先が変わっている場合や契約内容が分からない場合は自分から連絡する必要があります。
- 借金や自己破産をしていても相続できます。個人年金や退職年金などの私的年金については、借金や自己破産の影響を受けません。ただし、相続税の支払いには注意が必要です。
年金の種類により相続税の対象となる正確な評価は専門家に相談を
年金は老後の生活を支える大切な収入源ですが、その種類や仕組み、税金や相続との関係は複雑で分かりにくいものです。
この記事では、年金や税金、相続に関する得する情報をまとめてご紹介しました。
年金受給権が相続税の課税対象となる場合は、その価額を評価する必要があります。
評価方法は、年金の種類や契約内容によって異なります。
正確な評価をするためには、専門家に相談することがおすすめです。
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相続税の節税や手続きの効率化をお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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